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リハビリ機器一覧|種類・特徴・導入時の選び方をわかりやすく解説

By お役立ちコラム, 医療, 医療DX

リハビリ室の機器選定を任されたものの、「どんな機器があり、何を基準に選べばよいか」で迷う場面は少なくありません。本記事では、リハビリ機器を目的・訓練内容・選定基準の3つの観点から整理し、臨床現場で活かせる形で解説します。

この記事でわかること

リハビリ機器一覧は「目的×対象」の2軸で整理すると選びやすい

訓練か評価かという目的と、身体機能か認知機能かという対象の2軸で分類すると、機器の役割が明確になります。

訓練内容ごとに使う機器が異なる

歩行・筋力・関節可動域・バランス・上肢手指・ADLといった訓練内容ごとに、代表的な機器を具体的に把握できます。

選定は安全性と運用性の両面で判断する

対象者の目標との適合、設置スペース、介助のしやすさ、記録機能、費用と保守体制まで含めて判断する視点が身につきます。

MR技術を活用した3次元リハビリテーションシステム「リハまる」

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リハビリ機器一覧は目的×対象の2軸で整理すると選びやすい

リハビリ機器は多種多様で、名称だけを羅列しても現場では判断しにくいものです。「目的」と「対象」の2つの軸で整理すると、対象者の課題との対応づけがしやすくなります。目的は訓練か評価か、対象は身体機能か認知機能かという2×2で捉えると、機器の役割が明確になります。まず全体像を一覧で示し、続いて4つの区分ごとに解説します。なお、MR(複合現実)・VR(仮想現実)を用いた機器も、評価や訓練に用いる手段の一つとして各区分に含めています。

区分身体機能へのアプローチ認知機能へのアプローチ
訓練エルゴメーター・トレッドミル・レッグプレス・平行棒・歩行器・免荷式歩行装置・ロボット型歩行支援機器・ペグボード・ADL訓練設備机上課題・PC課題・タブレット端末・MR機器(複合現実型)・VR機器(仮想現実型)
評価徒手筋力計・握力計・ゴニオメーター・重心動揺計・三次元動作解析装置PC・タブレット向け認知評価ソフト・MR機器(複合現実型)・VR機器(仮想現実型)

訓練で使うリハビリ機器

訓練の場面では、身体機能に働きかける機器と、認知機能に働きかける機器を使い分けます。対象者の目標に応じて、どちらか一方、または組み合わせて選択します。

身体機能に関する機器

筋力・持久力・関節可動域・歩行能力に働きかける機器です。エルゴメーターやトレッドミル、レッグプレスなどの抵抗運動器具で負荷を段階的に設定し、Borgスケール(自覚的運動強度)などと組み合わせて調整します。歩行では、平行棒で支持性を確保しながら歩行器や免荷式歩行装置へと段階を進め、ロボット型の歩行支援機器を用いる場面もあります。手指の巧緻性やADL(日常生活動作)には、ペグボードやADL訓練設備を使い、実際の生活行為に近い場面で練習します。

  • エルゴメーター(上肢用・下肢用)
    有酸素運動と持久力へアプローチ
  • トレッドミル
    歩行速度や持続時間を管理しながら訓練
  • レッグプレス・プーリーなどの抵抗運動器具
    筋力へアプローチ
  • 平行棒・歩行器・歩行車
    支持性に応じた歩行練習
  • 免荷式歩行トレーニング装置
    体重を支えながら歩行練習
  • ロボット型歩行支援機器
    歩行パターンの練習を補助
  • ペグボード・セラプラスト
    上肢手指の巧緻性へアプローチ
  • ADL訓練設備
    更衣・整容・調理などの生活行為を練習

認知機能に関する機器

認知機能への訓練では、机上課題やPC・タブレットを使った認知トレーニングソフトが広く使われています。注意や遂行機能、記憶に働きかける課題を通じて実施状況を記録し、経過を追うことができます。近年はMR(複合現実)・VR(仮想現実)を用いた機器も選択肢に加わっており、現実空間が見えたまま課題に取り組めるMR機器は、立位や歩行を伴う課題を設計しやすい点が特徴です。

  • 机上課題(線分二等分検査など)
    注意や視空間認知へアプローチ
  • PC課題・認知トレーニングソフト
    反応時間や注意の持続、遂行機能を扱う課題を提供
  • タブレット端末
    操作が簡単で、場所を選ばず認知課題に取り組める
  • MR機器(複合現実型)・VR機器(仮想現実型)
    現実空間にオブジェクトを映し出して探索する注意課題など、空間認知や記憶への課題を提示

評価で使うリハビリ機器

評価の場面でも、身体機能を測る機器と、認知機能を測る機器を目的に応じて使い分けます。

身体機能に関する機器

徒手筋力計や握力計、ゴニオメーター(角度計)といった基本的な測定器から、重心動揺計、三次元動作解析装置まで幅があります。測定対象が異なる点に注意が必要で、握力計は筋力、重心動揺計は姿勢制御、動作解析装置は運動学的なパラメータを扱います。測定対象を混同せず、目標に応じて使い分けることが前提です。

  • 徒手筋力計・握力計
    筋力を数値化
  • ゴニオメーター(角度計)
    関節可動域を測定
  • 重心動揺計
    姿勢制御やバランスを評価
  • 三次元動作解析装置
    運動学的パラメータを分析

認知機能に関する機器

認知機能の評価では、PC・タブレットで動作する認知評価ソフトが広く使われ、注意・記憶・遂行機能などをスコア化します。机上検査では捉えにくい、歩行中や動作中の探索の偏りを確認したい場合には、MR(複合現実)・VR(仮想現実)機器のアイトラッキング機能が選択肢になります。

  • PC・タブレット向け認知評価ソフト
    注意・記憶・遂行機能などをスコア化
  • MR機器(複合現実型)・VR機器(仮想現実型)
    アイトラッキングで視線や注意、空間認知を評価・記録

リハビリ機器一覧でよく使う機器は訓練内容ごとに違う

同じ「筋力訓練」でも、対象部位や目標によって選ぶ機器は変わります。ここでは訓練内容ごとに、現場でよく使われる機器を整理します。介入内容は疾患名だけでなく、障害像・生活課題・本人の目標によって決まる点を前提に読み進めてください。まず訓練内容ごとの代表的な機器と関連指標を一覧で整理します。

訓練内容よく使う機器関連する評価
歩行訓練平行棒・歩行器・免荷式歩行装置歩行速度・持久力(10m歩行・6分間歩行)
筋力・関節可動域訓練レッグプレス・プーリー・セラバンド筋力・関節角度の測定
バランス・起立訓練バランスボード・重心動揺計・起立補助装置バランス・起立能力の評価
上肢・手指訓練上肢用エルゴメーター・ペグボード・電気刺激装置上肢機能・巧緻性の評価
日常生活動作の練習ADL訓練設備・手すりBarthel Index・FIM
認知・注意へのアプローチMR/VR機器・机上課題・PC課題注意・空間認知・記憶の評価

歩行訓練で使うリハビリ機器

歩行訓練では、まず平行棒で支持性を確保しながら立位・歩行を練習し、能力に応じて歩行器や歩行車へ段階を進めます。免荷式の装置を使えば、体重を部分的に支えながら早期から歩行パターンの練習ができます。10m歩行テストや6分間歩行テスト(6MWT)で歩行速度や持久力を数値化し、変化を追います。支持性の高い機器から段階的に難易度を上げるのが基本的な進め方です。

筋力訓練と関節可動域訓練で使うリハビリ機器

筋力訓練では、レッグプレスやプーリー、セラバンド、ダンベルなどで抵抗を段階的に設定します。関節可動域訓練では、滑車を用いた自動介助運動などを用います。術後早期など疼痛や炎症がある局面では、負荷設定を慎重に行い、医師・療法士の判断のもとで進めます。単に訓練量を増やすのではなく、疲労や二次障害の予防にも配慮します。

バランス訓練と起立訓練で使うリハビリ機器

バランス訓練では、バランスボード、バランスパッド、重心動揺計を用います。重心動揺計は足圧中心(COP)の動揺を可視化でき、視覚フィードバックとしても活用されます。起立訓練では、昇降式のプラットフォームや起立補助装置を用い、5回立ち上がりテスト(SS-5)などで変化を確認します。バランス能力の評価にはBBS(Berg Balance Scale)やTUG(Timed Up and Go test)がよく用いられます。

上肢訓練と手指訓練で使うリハビリ機器

上肢訓練では、上肢用エルゴメーターやプーリー、リーチ動作を促す設備を用います。手指訓練では、ペグボードやセラプラスト、巧緻性を扱う訓練器具が中心です。脳卒中後の上肢麻痺に対しては、電気刺激装置やロボット型の上肢支援機器が用いられる場面もあります。単調な反復では意欲が続きにくいため、動作の目的や達成感を意識した課題設計が求められます。

日常生活動作の練習で使うリハビリ機器

ADL練習では、実際の生活場面を想定した設備を使います。更衣・整容・入浴・調理などを模した訓練環境、移乗を支える手すり、福祉用具の適合検討などが含まれます。ADLの評価にはBarthel IndexやFIM(機能的自立度評価)が用いられますが、点数だけでなく、実際の生活状況や本人の希望、環境も併せて評価します。生活場面は室内の移動だけでなく、時間帯・明るさ・疲労・屋外や社会参加まで含めて捉えます。

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実際にリハまるを導入した病院での活用方法や臨床現場の声をご紹介しています。

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リハビリ機器一覧から選ぶときは安全性と運用性が重要

機器の性能が高くても、現場の運用に合わなければ活用は続きません。対象者への適合と、日々の運用のしやすさの両面で判断することが重要です。ここでは選定時に確認したい5つの観点を整理します。

対象者の症状と訓練目標に合うかを見る

最初に確認すべきは、想定する対象者の障害像と目標に機器が合うかです。回復期で歩行再建を目指す病棟と、生活期で活動や社会参加の拡大を目指す施設では、必要な機器が異なります。ICF(国際生活機能分類)の観点で、心身機能・活動・参加のどこに働きかけたいかを整理すると選定がぶれにくくなります。想定利用者数や重症度の幅も、機能の過不足を判断する材料になります。

設置スペースと移動しやすさを確認する

大型機器は設置面積だけでなく、周囲の安全な動線も確保する必要があります。免荷式歩行装置やトレッドミルは相応のスペースを要し、床の耐荷重や電源容量の確認も欠かせません。逆に、キャスター付きで病棟へ持ち出せる機器は、ベッドサイドや食堂など活動場面に近い場所での訓練を可能にします。設置後の移動可否は、運用の柔軟性に直結します。

介助のしやすさと転倒予防の機能を比べる

立位や歩行を伴う機器では、転倒予防の機構が実用性を左右します。免荷ハーネス、手すり、緊急停止機能、非常時の解除のしやすさを確認します。移乗の負担が大きい機器は、スタッフの腰痛など二次的な負担にもつながります。少人数で安全に運用できるかという視点は、継続利用の鍵となります。

安全性・運用性の確認チェックリスト
  • 緊急停止・免荷など転倒予防の機構が備わっているか
  • 少人数のスタッフでも安全に運用できるか
  • 設置スペースと電源・耐荷重の条件を満たすか
  • 測定・記録データを多職種で共有できるか
  • 導入後の保守・アップデート体制が整っているか

測定機能や記録のしやすさを確認する

介入効果を客観的に把握するうえで、測定・記録機能は評価しやすさを大きく左右します。歩行速度や重心動揺、成績を自動で数値化・保存できる機器は、経過の共有や目標の再設定に役立ちます。データを電子カルテやチーム内で共有できると、医師・看護師・PT・OT・STなど多職種の連携が進めやすくなります。記録の手間が少ないほど、日々の運用に定着しやすくなります。

導入費用と保守体制のバランスで判断する

導入費用は本体価格だけでなく、消耗品・保守契約・アップデートを含めた総額で見積もります。高額な機器ほど、故障時の対応やサポート体制の確認が欠かせません。診療報酬・介護報酬の算定は改定や施設基準・制度上の要件によって扱いが異なるため、機器導入と算定を結びつける際は最新の情報を確認します。診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度の改定が行われるため、時点に注意が必要です。

確認しておきたい注意点
機器導入による算定や加算の扱いは、改定時点や施設基準・契約によって異なります。最新の要件は厚生労働省の通知で確認し、機器の効果と算定の可否を混同しないよう注意してください。

評価と訓練を支えるテクノロジー活用

先の機器一覧でも手段として挙げたMR(複合現実)やVR(仮想現実)を用いた機器について、ここで詳しく整理します。これらは評価や介入の手段の一つとして活用されています。これらは新しい「リハビリの種類」ではなく、個別の目標や課題に応じて使う手段として位置づけられます。従来の機器と対立するものではありません。

MRとVRの違いを整理する

MRとVRは一括りにされがちですが、性質が異なります。VRは仮想空間に没入する方式で、現実環境が見えにくくなります。MRは現実空間にCGを重ねる方式で、周囲を見ながら利用できます。この違いは、実空間での移動可否、安全管理、酔いや不快感、必要なスペースに影響します。

項目MR(複合現実)VR(仮想現実)
現実環境の見え方見える見えにくい
立位・歩行の実施実施しやすい配慮が必要
現実空間が見えること見える見えない
酔うリスク低いある

3次元リハビリテーションシステム「リハまる」の特徴

株式会社テクリコ(大阪市北区梅田)が開発する「リハまる」は、MR技術を用いた3次元リハビリテーションシステムで、特許を取得しています。医療分野向けは光学シースルー型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用し、現実空間にCGを重ねて課題を提示します。現実空間が見えたまま利用できるため、立位や歩行を伴う課題も設計しやすい構成です。関西医科大学をはじめ、東京大学・京都大学・慶應義塾大学・藤田医科大学との連携研究が行われています。

  • 数字抹消・選択抹消・迷路・花道など、注意や空間認知を扱う課題を用意
  • 触れる・視線・頸部回旋・音声など複数の操作方法から選択可能
  • アイトラッキングで視線履歴や1人称視点の映像を記録・共有
  • 立位・座位・ベッドサイドなど、対象者の状態に合わせて実施可能

臨床での活用が報告されている領域

学会や論文では、半側空間無視(USN)・注意障害・認知機能などに対する評価や介入の活用が報告されています。たとえば、机上検査では検出されにくい歩行時や動作中の探索の偏りを、視線データとして可視化した報告があります。ただしこれらは特定の患者における経過を含み、すべての対象者に同様の結果が得られることを示すものではありません。適応や負荷設定の最終判断は、医師・療法士が行います。

神経疾患患者や高齢者を対象にMRを用いた動的なバランス運動の実施可能性を検討した報告があり、酔い(VIMS)のリスクは低いことが示された。
出典 Ushizawa K, Uehara S, Yuasa A, Matsuura D, Wada Y, Watanabe H. Archives of Rehabilitation Research and Clinical Translation. 2026.

よくある質問

Qリハビリ機器の一覧はどのように整理すると分かりやすいですか

A目的×対象の2軸で整理するのがおすすめです。訓練か評価か、身体機能か認知機能かという軸で分けると、対象者の課題と機器の対応づけがしやすくなります。さらに歩行や筋力といった訓練内容ごとに具体的な機器を把握すると、選定の精度が上がります。

Q機器を選ぶときにまず確認すべき点は何ですか

A対象者の障害像と訓練目標への適合を最初に確認します。そのうえで設置スペース、介助のしやすさと転倒予防の機能、測定・記録のしやすさ、導入費用と保守体制のバランスを総合的に判断します。性能と現場の運用性の両面で見ることが重要です。

QMRやVRを使った機器は従来の機器と何が違いますか

AMR・VRは独立した種類ではなく、評価や介入を行うための手段です。VRは没入型で現実環境が見えにくく、MRは現実空間にCGを重ねるため周囲を見ながら利用できます。視線データの記録や課題設定の柔軟さが特徴ですが、適応や負荷設定は医師・療法士の判断に基づきます。

リハまるの導入をご検討中の方へ

臨床でのMR/VRリハビリの活用について、詳しい資料をお送りします。デモのご依頼も承ります。

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まとめ

リハビリ機器は種類が多いため、目的別の整理から始め、訓練内容ごとの具体的な機器を把握し、安全性と運用性で選定するという流れが実務的です。機器はあくまで手段であり、対象者の目標に沿った活用が前提となります。

この記事のまとめ

リハビリ機器一覧は訓練/評価 × 身体機能/認知機能の2軸で整理すると選びやすい

歩行・筋力・バランス・上肢手指・ADLなど訓練内容ごとに使う機器は異なる

選定は対象者への適合と運用性の両面で判断し、安全性と記録機能を確認する

MR・VRは新しい種類ではなく、目標に応じて使う評価・訓練の手段である

MR技術を用いた「リハまる」の機能や導入事例について詳しく知りたい方は、資料請求やデモ依頼を通じて、自施設の目標に合うかどうかをご確認いただけます。

リハビリの種類を目的別に徹底解説|疾患別アプローチ・回復期・最新MR/VR手法まで紹介

By お役立ちコラム, 医療, 医療現場運営ノウハウ

リハビリテーションの種類を整理しようとすると、職種・疾患・病期・制度・提供場所・介入手段など複数の軸が交差し、現場でも説明に迷う場面が少なくありません。本記事では、それぞれの軸を区別しながら、臨床で使える体系的な整理を提供します。

この記事でわかること

リハビリテーションはICFの観点で目標を整理し、複数の方向性で介入する

定義の核と、改善・維持・予防・代償・環境調整など多面的な介入の考え方を整理します。

PT・OT・STの守備範囲と多職種連携の実際

各職種の役割を正確に区別し、医師・看護師・MSW等を含むチーム構成を整理します。

病期・制度・提供場所ごとの重点と枠組みの違い

急性期・回復期・生活期の整理、医療保険と介護保険の違い、訪問・通所・入所の特徴をまとめます。

テクノロジーは目的ではなく評価・介入を支援する手段

MR(複合現実)・VR(仮想現実)等の技術的手段の位置づけと活用の考え方を整理します。

MR技術を活用した3次元リハビリテーションシステム「リハまる」

臨床でのMR/VRリハビリの機能・特徴・対応症例をご紹介しています。

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リハビリテーションの考え方とICFに基づく目標設定

リハビリテーションの種類を理解する前提として、まずリハビリテーションそのものの定義と、目標を整理するための枠組みを確認します。ここを曖昧にしたまま「種類」を語ると、分類の基準がぶれます。

リハビリテーションは生活機能の最適化を支援する取り組み

リハビリテーションは、単に筋力訓練や歩行訓練を行うことではありません。心身機能、活動、参加、生活環境などに働きかけ、本人の生活機能を最適化し、望む生活の実現を支援する取り組みです。具体的には、心身機能への介入、基本動作や日常生活動作の練習、生活行為や社会参加への支援、代償手段の獲得、福祉用具や住環境の調整、家族・介護者への支援、復職・復学・趣味活動への支援、再発予防や自己管理支援などが含まれます。

「機能回復と生活維持」の2軸で捉える整理はよく見かけますが、この二分では進行性疾患への対応や予防的介入が抜け落ちます。目的もQOL向上だけに限らず、生活機能の改善、自立度向上、安全性確保、本人の選択と自己決定の支援、役割や社会参加の再獲得、再発・二次障害の予防、家族の負担軽減など多岐にわたります。

ICFの観点で目標と課題を整理する

リハビリテーションの目標や課題を整理する際は、ICF(国際生活機能分類)の考え方が基本となります。主な観点は、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子、健康状態の6つです。

重要なのは、「機能」「活動」「参加」が上下関係の3段階ではなく、相互に影響し合う点です。たとえば、身体機能の改善が十分でなくても、福祉用具の導入や住環境の調整、代償手段の獲得によって活動や参加が改善する場合があります。「トイレが自立した」だけでなく、朝昼夜の時間帯、疲労の程度、自宅と病院の環境差、屋外や公共施設での遂行状況まで含めて評価することが、本人の実際の生活に即した目標設定につながります。

リハビリテーションを整理する主な観点
  • 生活機能・目標(心身機能・身体構造、活動、参加、環境)
  • 介入の方向性(改善、維持、予防、代償、適応、環境調整)
  • 対象疾患・障害(脳卒中、運動器疾患、心疾患、呼吸器疾患など)
  • 病期(急性期、回復期、生活期)
  • 提供場所(入院、外来、訪問、通所、入所、地域、職場)
  • 制度(医療保険、介護保険、障害福祉、労災、自費など)
  • 専門職(医師、看護師、PT、OT、ST、MSW、心理職など)
  • 介入方法・手段(運動療法、生活行為練習、環境調整、福祉用具、MR・VRなど)

これらはすべて異なる階層の概念です。「リハビリの種類は4つ」のように一軸に統合するのではなく、複数の観点で多面的に整理する視点が、患者・家族への説明や多職種間の共通認識を支えます。

介入の方向性は改善・維持・予防・代償など多岐にわたる

リハビリテーションの介入は「改善する」だけではありません。主な方向性として、改善・回復、維持、低下や二次障害の予防、代償方法の獲得、環境への適応、環境調整、自己管理能力の獲得、活動範囲の拡大、社会参加や役割の再獲得、家族・介護者の負担軽減があります。

生活期においても「維持」だけが目標ではなく、心身機能や生活能力の改善、新たな活動や参加の獲得を目指す場合があります。本人の状態や生活目標に応じて、介入内容、頻度、時間、強度、難易度などを個別に設定します。

専門職の役割と多職種連携

リハビリテーションには多くの専門職が関わります。PT・OT・STの3職種を中心に語られがちですが、実際には医師を筆頭に、看護師、MSW、心理職、管理栄養士、薬剤師、義肢装具士、介護福祉士、ケアマネジャーなどが対象者の状態に応じて連携します。

理学療法は基本動作・移動能力・身体機能を支援する

理学療法士(PT)は、座る、立つ、歩くといった基本動作や移動能力の獲得・改善・維持を支援します。手段は、運動療法、物理療法、基本動作練習、歩行・移動練習、バランス練習、呼吸・循環機能への介入、義肢装具や福祉用具の検討、疼痛や二次障害の予防、身体活動や健康管理の支援まで幅広く及びます。

評価指標としては10m歩行テスト、6分間歩行、TUG(Timed Up and Go)、BBS(Berg Balance Scale)、SS-5(5回立ち上がりテスト)などが用いられます。回復期病棟では、歩行自立を目指す際にバランス能力や筋力がどの水準にあるかが介入優先順位の判断材料になります。

作業療法は意味のある作業・生活行為への参加を支援する

作業療法士(OT)は、本人にとって意味や目的のある作業・生活行為への参加を支援します。対象はセルフケア(食事・更衣・整容・入浴・トイレ等)だけでなく、家事、仕事、学習、趣味、遊び、休養、地域活動、対人交流と多岐にわたります。心身機能への介入、実際の生活行為の練習、道具や環境の調整などを行います。

脳卒中後の半側空間無視(USN)に対しては、BIT(行動性無視検査)やCBS(Catherine Bergego Scale、生活場面の観察尺度)を組み合わせて評価します。BITは机上検査、CBSは食事場面で「左側のお椀に気づけるか」のような生活場面での観察で、両者は評価対象が異なります。

言語聴覚療法はコミュニケーションと摂食嚥下を支援する

言語聴覚士(ST)は、失語症、構音障害、音声障害、吃音、聴覚障害、言語発達、認知コミュニケーション障害、高次脳機能障害、摂食嚥下障害を対象とします。脳卒中後の失語症ではSLTA(標準失語症検査)、嚥下障害では藤島グレードやRSST(反復唾液嚥下テスト)、MWST(改訂水飲みテスト)などを用いて評価します。

嚥下障害では頭頸部の制御と姿勢安定性が摂食能力に直結します。座位保持が困難な症例では、PTによる体幹・骨盤帯の介入と並行して嚥下訓練を組み立てることがあり、多職種連携の典型的な場面の一つです。

多職種チームによる包括的支援

高次脳機能障害(注意障害、記憶障害、遂行機能障害、半側空間無視、社会的行動障害など)は、一職種の専有領域ではありません。医師、看護師、PT、OT、ST、心理職、MSWが症状と生活課題に応じて連携する領域です。

心臓リハビリテーションや呼吸リハビリテーションも同様です。これらはPTだけが行うものでも、運動療法だけを指すものでもなく、医師、看護師、PT、OT、管理栄養士、薬剤師などが運動・患者教育・栄養・服薬・再発予防・自己管理・心理社会的支援を包括的に行う取り組みです。

疾患領域主な対象関わる主な職種
脳血管疾患脳梗塞、脳出血、くも膜下出血医師、看護師、PT、OT、ST、MSW、心理職
運動器疾患骨折術後、変形性関節症、脊椎疾患医師、看護師、PT、OT、義肢装具士
心疾患心筋梗塞、心不全、心臓術後医師、看護師、PT、OT、管理栄養士、薬剤師
呼吸器疾患COPD、間質性肺炎、術後肺合併症医師、看護師、PT、OT、管理栄養士

なお、疾患別リハビリテーション料(脳血管疾患等、運動器、心大血管、呼吸器、廃用症候群、がん患者)は診療報酬上の算定区分であり、臨床上のリハビリの種類そのものではありません。実際の介入内容は疾患名だけでなく、障害像、生活課題、本人の目標に基づいて決定されます。

病期・制度・提供場所で重点と枠組みが異なる

同じ疾患・同じ障害像でも、急性期・回復期・生活期の病期、医療保険・介護保険の制度、入院・外来・訪問・通所・入所の提供場所によってリハビリテーションの枠組みは異なります。なお診療報酬は2年に1度、介護報酬は3年に1度の改定で変更されるため、算定要件の詳細は最新の厚生労働省通知でご確認ください。

急性期・回復期・生活期の重点

急性期では、全身状態や医学的リスクを管理しながら、状態に応じて廃用や合併症の予防、適切な離床、関節可動域や筋力への介入、基本動作練習、コミュニケーション支援、摂食嚥下への介入、日常生活動作への支援、退院後の生活を見据えた評価などを行います。脳卒中ガイドラインでは早期からの離床が推奨されていますが、全身状態を無視して離床を急ぐものではなく、バイタル基準と中止基準を多職種で共有し、安全域内で活動量を確保する判断が求められます。

回復期では、機能訓練と生活課題への支援を並行し、医師、看護師、PT、OT、ST、MSW、管理栄養士などの多職種チームで退院後の生活を目指します。対象疾患や発症からの日数に応じた入院期間の目安があり、1日最大9単位(180分)の集中的な提供が可能です(施設基準・改定により異なる)。FIMは重要な評価指標ですが、本人が望む生活や参加を含めて目標を設定する視点が欠かせません。

生活期では、獲得した生活機能の改善・維持に加え、活動や社会参加の拡大を目指します。趣味や役割の獲得、再発や転倒の予防、自己管理、家族・介護者の負担軽減も対象です。「維持だけ」の段階ではなく、本人の状態に応じて改善の余地を探り続ける姿勢が求められます。

注意ポイント
急性期=離床、回復期=機能回復、生活期=維持、という固定的な整理は不正確です。心身機能、活動、参加、環境調整はすべての病期で検討されます。各病期で重点は異なりますが、どの段階でも本人の生活全体を見る視点が基本です。

医療保険と介護保険の枠組み

医療保険下では疾患別リハビリテーション料として、疾患ごとに標準的算定日数と1日の単位上限が定められています。介護保険下では訪問リハビリ、通所リハビリ、介護老人保健施設等での提供が中心で、ケアプランに位置づけて実施されます。

両者の違いは、主に対象要件、制度、提供主体、算定方法、計画やマネジメントの仕組み、提供期間、医療管理の必要性にあります。「医療保険=機能回復、介護保険=生活維持」という目的での二分は不正確です。医療保険でも生活再建・活動・参加・環境調整を扱い、介護保険でも心身機能やADLの改善・自立支援を目指します

標準的算定日数を超えた場合でも、患者の状態や制度上の要件により医療保険で継続される場合があり、介護保険の対象でない人もいます。同一疾患に対する医療保険と介護保険の併用には原則として制限がありますが、移行期などに例外的な取扱いがあるため、個別の確認が必要です。

訪問・通所・入所など提供場所による特徴

訪問リハビリテーションは、本人が実際に生活する環境で動作を評価し、住環境調整、福祉用具の検討、家族への支援まで踏み込めます。頻度は本人の状態、生活目標、介入内容、疲労やリスク、自主練習の状況、他のサービス、制度上の上限などを踏まえて個別に設定します。

通所リハビリ(デイケア)はマシンや歩行スペースなどの設備を活用しつつ、他者交流による意欲の維持を図れます。入所リハビリ(介護老人保健施設)は在宅復帰を前提とした集中的な支援を提供します。どのサービスを選択するかは、本人の状態・課題・退院支援の状況に応じて決定します。

本人に合った支援設計のポイント
  • 本人が望む生活・活動・役割を確認する
  • 生活環境、家族・支援者の状況を踏まえる
  • 医学的リスクと継続可能性を考慮する
陥りやすい設計の偏り
  • 疾患名や病期だけで介入内容を決める
  • 評価指標の点数だけを目標にする
  • 本人の生活目標が言語化されないまま継続する

テクノロジーは評価と介入を支援する手段

リハビリテーションにおけるテクノロジー活用は、ロボット、センサー、デジタル機器、VR(仮想現実)、MR(複合現実)など多様な選択肢が広がっています。これらは目的そのものではなく、評価や介入を支援する手段です。

MR・VRは評価と介入における選択肢の一つ

MRやVRの主な位置づけは、課題を反復する手段、難易度を調整する手段、即時フィードバックを提示する手段、実生活に近い課題を提示する手段、動作・視線・反応を記録する手段、動機づけを支援する手段です。個別の目標や課題に応じて用いる選択肢の一つであり、「従来のリハビリ」と対立させるものではありません。

MRと没入型VRでは特徴が異なります。MRは現実環境を見ながら仮想の課題に取り組めるため、立位・歩行訓練との併用がしやすく、VR酔いのリスクも低減できると報告されています。一方、没入型VRは視界を完全に仮想空間に置き換えるため、安全管理の方法や提示できる課題、不快感の生じ方が異なります。

たとえば歩きながら認知課題を行うMR機器は、注意障害や半側空間無視への評価・介入を3次元空間で実施する選択肢として、急性期・回復期・生活期のいずれでも活用報告があります。二重課題(運動課題と認知課題の同時実施)は、生活場面を想定した訓練を構成する一手法として位置づけられます。

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本人の望む生活から逆算して支援を設計する

リハビリテーションの種類を選ぶ最終的な基準は、疾患名や病期ではなく、本人の生活課題と目標です。本人が望む生活、心身機能、活動、参加、生活環境、家族や支援者の状況、医学的リスク、継続可能性、本人の価値観や役割を総合的に踏まえ、介入を設計します。

退院支援の場面ではMSWとケアマネジャーが連携し、本人の目標と医療ニーズに合う場の選定が行われます。テクノロジーの活用も、この「本人の目標からの逆算」の中に位置づけることで、手段と目的を混同しない支援設計が可能になります。最終的な訓練の適否や負荷設定は、必ず担当医師と療法士の判断のもとで決定してください。

よくある質問

Q疾患別リハビリテーションの標準的算定日数を過ぎたらリハビリは継続できませんか

A標準的算定日数を超えた場合でも、状態の改善が期待できると医師が判断した場合などの除外要件があります。要介護認定を受けている方は、介護保険下の訪問リハビリや通所リハビリへの移行が一般的ですが、介護保険の対象でない方もいます。最新の算定要件と除外規定は改定時点の厚生労働省通知でご確認ください。

QMRとVRは何が違うのですか

AMR(複合現実)は現実環境を見たまま仮想のオブジェクトを重ねる技術で、実空間で移動しながら課題に取り組めます。没入型VR(仮想現実)は視界を完全に仮想空間に置き換えるため、提示できる環境の自由度が高い反面、酔いや不快感が生じやすく、安全管理の方法も異なります。いずれも評価や介入を支援する手段であり、対象患者の状態と施設の運用体制に応じて選択します。

QFIMやBIの点数だけで目標設定してよいですか

AFIMやBIは活動やADLを把握する重要な評価指標ですが、実際の生活環境での遂行状況、活動の質、社会参加、本人の満足度、家族の負担、時間帯や環境による変化を十分に反映できない場合があります。指標の点数と併せて、本人の希望や生活状況、環境を総合的に評価し、目標を設定することが推奨されます。

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まとめ

リハビリテーションの種類は、生活機能・目標、介入の方向性、対象疾患、病期、提供場所、制度、専門職、介入手段など、複数の観点で多面的に整理できます。いずれか一つの軸に集約するのではなく、本人の生活課題と目標から逆算して種類を組み合わせることが、臨床での種類選択と多職種連携の基盤となります。

この記事のまとめ

リハビリテーションはICFの観点で目標を整理し、改善・維持・予防・代償など多方向から介入する

PT・OT・STの守備範囲を正確に理解し、医師・看護師・MSW等を含む多職種チームで支援する

病期・制度・提供場所ごとに重点と枠組みが異なり、各軸を区別して整理する

テクノロジーは目的ではなく手段であり、本人の目標からの逆算の中に位置づける

注意障害や半側空間無視への3次元空間での評価・介入、二重課題訓練など、従来の手法を補完する選択肢としてMR・VRの臨床活用が進んでいます。具体的な活用イメージやデモのご相談は、リハまるの資料請求フォームよりお気軽にお問い合わせください。

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